▼ED薬比較
主流は3種類
ED治療薬によるED治療は、数あるEDの治療法の中で最も一般的なものと言えるでしょう。
またED治療薬によらない治療でも、最初にED治療薬によっての治療を試み、その後の治療法を探るケースや、治療と並行してED治療薬を投与するケースもあるなど、なくてはならない存在と言えるかもしれません。
今日のED治療薬は、バイアグラ、レビトラ、シアリスという3種類が主流となっています。
これらはそれぞれ異なる成分の違う薬ですが、実際にはどういった違いがあるのでしょうか。
そこで今回は、これら3種類のED治療薬を比較し、それぞれの違いを見て行きたいと思います。
効果自体に差はない
バイアグラ、レビトラ、シアリスの有効成分は、それぞれシナデルフィル、バルデナフィル、タダラフィルと全て異なるものですが、これらは全てPDE-5阻害薬と呼ばれるカテゴリに属すものです。
血流不足は、血管の筋肉が硬くなって、ゆるまなくなることに起因します。これを改善する鍵となるのが、筋肉をゆるめる働きをするサイクリックGMPという物質です。
ところが、サイクリックGMPを分解し、その効力を無くしてしまう酵素が存在しており、この酵素はホスホジエステラーゼ5(PDE-5)と呼ばれています。
PDE-5阻害薬は名前の通り、このPDE-5の働きを妨げることによって、筋肉がゆるむ作用を増強し、血管を拡げることにより、血流を改善させる働きをもつ治療薬なのです。
よってバイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類の薬は、基本的に同じ作用を持つ薬といえます。
また薬の副作用に関しても、比較的よく確認される副作用はどの薬も似たようなものです。
効果時間と食事の影響
ED治療薬を比較する上で最も注目するべきなのが、効果の持続時間です。
バイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類の薬は、基本同じ作用を持つ薬ですが、その効果の現れるまでの時間(即効性)や効果の持続時間には大きな差があります。
また効果時間の長短があるがゆえに、食事の影響を受けやすいもの、受けにくいものがあります。
以上のことから、バイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類を比較する場合、主にその効果時間や食事の影響に焦点を当てて比較されることがほとんどです。
▼バイアグラ
世界最初のED治療薬
米ファイザー社によって開発された世界初の経口ED治療薬です。
1998年3月に米国FDA(アメリカ食品医薬品局)の承認を受け、日本では1999年3月に日本ファイザー社から発売されました。
有効成分はクエン酸シルディナフィル。
狭心症の治療薬を開発中に、副作用として勃起効果が発見されたことをきっかけに開発された経緯があります。
バイアグラの効果
男性器の勃起は、性的な刺激などにより海綿体に血液が集まることで起こります。
この血液を集めるために重要な働きをするのが、サイクリックGMP(環状グアノシン一リン酸)です。サイクリックGMPは男性器を刺激することで形成され、海綿体の筋肉を弛緩させる効果があります。これにより、海綿体に血液が流れ込むようになるのです。
ところが、サイクリックGMPの働きを阻害する酵素が存在します。ホスホジエステラーゼ5(PDE-5)と呼ばれるもので、この酵素によってサイクリックGMPは分解されてしまいます。結果海綿体への血流が減少し、男性器の勃起不全を引き起こすのです。
バイアグラの有効成分シルデナフィルは、このPDE-5の働きを妨害する効果があります。これによってサイクリックGMPは本来の働き(海綿体の筋肉を弛緩させ、血流を促進させる)が出来るようになり、男性器が正常に勃起が可能となるのです。
正しい服用法
正しいバイアグラの服用方法は、空腹時に服用することと、性行為の約1時間前に服用することです。
一般に(個人差あり)性行為の1時間前にバイアグラを服用すると、服用後約30~40分ほどで効果が出始め、およそ1時間後にピークを迎えます。その後は少しずつ効果が低下していき、3時間~4時間経過するとピーク時のおよそ半分の効果になると言われています。
バイアグラの有効成分であるシルデナフィルは、血液に吸収されないと作用しません。
食事などによって胃の中にや腸内に食べ物があると、シルデナフィルは血液中に取り込まれることなく、便としてそのまま排出されてしまいます。
よって食後に服用する場合は、消化の良い食事であれば胃が空になるとされる約2時間後、消化の悪い食事の場合は5、6時間は空けないと本来の効果は期待出来ませんので注意しましょう。
バイアグラジェネリック
ED治療薬の価格は薬や錠剤の種類などにもよりますが、多くの場合で1錠1,500円前後となっています。
バイアグラに関しては2014年5月に特許が切れたため、現在多くの製薬会社がジェネリックを販売しています。
価格は新薬に比べ2/3程度で、求めやすくなっています。
成分的にほぼ同じであるため、色や形が異なることはあっても、新薬とほぼ同等の効果があります。
副作用
バイアグラの副作用として最も多く報告されているのが、めまい、顔の火照り、頭痛です。そのほかにも鼻詰まりや鼻血、胃痛、動悸、頻脈などが起こる場合があります。
これらはバイアグラによる血行促進作用に伴うもので、どれも一時的なものであり、それほど深刻なものではありません。
▼レビトラ
日本で2番目に認可されたED治療薬
独バイエルヘルスケア社で開発されたED治療薬です。2003年に米国で販売開始。日本では2004年6月により販売が開始され、バイアグラについで2番目に使用可能となったED治療薬です。
有効成分はバルデナフィル塩酸塩水和物。バイアグラの有効成分と同じくPDE5阻害薬にあたります。
レビトラの効果
レビトラの有効成分バルデナフィル塩酸塩水和物は、PDE5阻害薬にあたるため、その効果はバイアグラとさほど変わりません。
ただ後発薬であるレビトラには、その効能においていくつかの改善点が見られます。
バイアグラの欠点を解消したED治療薬
世界初のED治療薬として発売されたバイアグラは、世界的に大きく注目されました。
しかし、バイアグラには食事の影響を非常に受けやすいという欠点があり、服用の際は食事と性行為のタイミングをよく考えなければなりませんでした。
レビトラはこの欠点を改善したED治療薬なのです。
レビトラはバイアグラに比べて即効性があり、食事の影響を受けにくいといわれています。
有効成分バルデナフィル塩酸塩水和物は水に溶けやすいため、体内に吸収されやすく、即効性があるのです。
標準的な食事(およそ700kcal/脂肪分の割合が30%まで)ならその影響を受けにくく、カレーライスや牛丼くらいまでの食事なら、その影響はあまり受けないとされています。
正しい服用法
レビトラは即効性が高いED治療薬として知られています。
服用から約20分程度で効果が出始め、最高血中濃度に達するまでに40分~50分程度であるとされています。空腹時は最短10分程度で効果を発揮する場合も。
バイアグラと比べると効果が出るのが10~20分ほど早くなっています。
また食事に影響は受けにくいとは言うものの、効果をより高めるにはやはり空腹時の服用が最も効果的です。食後に服用する際はなるべく低カロリーは食事を心がけるとよいでしょう。
レビトラには5mg、10mg、20mgの3種類があり、一般に出回っているのは10mg、20mgです。
最初は含有量が少ないものから試して、どの程度の効果があるか確認するようにしましょう。いきなり含有量が多いものを服用すると、強い副作用が出たり、耐性がついてしまい効果が得られにくくなるので注意しましょう。
副作用
レビトラの副作用は、バイアグラの副作用とあまり変わらないものとなっています。
顔の火照りや目の充血は、ほとんどはレビトラが作用している4~6時間のうちに起こり、その後は治まるため、あまり深く気にする必要はありません。
▼シアリス
最も売れているED治療薬
米イーライリリー社で開発され2003年に米国で販売開始。日本では「日本イーライリリー株式会社」から2007年9月に販売が開始された最新のED治療薬です。
有効成分はタダラフィル。
バイアグラやレビトラの有効成分と同じくPDE5阻害薬ですが、タダラフィルは体内に吸収されにくい特徴を持っています。
即効性よりも持続性に照準を合わせた新薬
シアリスは服用後ゆっくりと長時間かけて作用し、効果を最大限発揮するまでに3時間程度時間がかかる遅効性の薬です。
しかしながら、その効果は最大36時間という大変長い持続性を持っており、以上の点でバイアグラやレビトラとは一線を画したED治療薬と言えるでしょう。
圧倒的な効果時間が長さは、焦燥感や精神的な不安定さを感じにくくさせ、結果としてストレスの軽減にも大きく貢献しています。
またゆっくり効果を及ぼすということから、副作用の心配もあまりありません。
食事による効果への影響も、レビトラよりもさらに改善されており、800kcal未満の食事であれば影響はないとされています。
正しい服用法
シアリスが遅効性の薬であるため、最高血中濃度に達するまでにおよそ3時間程度を要します。そのため、性行為を行う3時間前に服用するのがベストといえます。
ただし作用時間が長いため、早めに飲んでおいても問題はないでしょう。
また24時間の間隔さえ開ければ、追加で服用することも可能です。
またこれはレビトラでも同じですが、食事の影響は少ないとはいえ、やはり食後の服用ではその効果は多少なりとも低減します。可能な限り空腹時に服用するのがいいでしょう。
また服用後間もない食事は、成分の吸収が充分に行われないため避けましょう。少なくとも30分は時間を置くよう心がけましょう。
シアリスでは副作用が出にくい?
シアリスはバイアグラやレビトラよりも副作用が出にくいと言われています。それはシアリスが遅効性であるためです。
バイアグラやレビトラは即効性であるがゆえに、身体に急激な変化をもたらします。その結果どうしても副作用が出やすいのです。
一方シアリスは遅効性なので体に穏やかに作用し、馴染んでいきます。そのため他のED治療薬に比べて副作用が少ないのです。
ただし副作用が全くないわけではなく、他の治療薬と同様に頭痛や顔の火照り、消化不良などの副作用が認められています。
▼まとめ
ED治療薬を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
バイアグラ→レビトラ→シアリスと後発になるほどその副作用や欠点が改善されているようです。
またバイアグラとレビトラが即効性、シアリスが遅効性であることから、使用する状況で治療薬を使い分けることも可能かもしれません。
販売価格(薬価)の面から見ると、やはりジェネリックが出回っているバイアグラジェネリックが安価なようです。
まずは医師の診断を
ただしこれは単純に一般的な効果や副作用、薬価からだけ見た結論です。
ED治療薬は医薬品ですので、やはりその選択はまずは医師に委ねるのがベストでしょう。
特定の既往症を持つ方などはED治療薬を服用出来ないこともありますし、併用禁忌薬もある程度存在します。
個人輸入などにより入手することも可能なED治療薬ですが、その使用にあたっては必ず事前にクリニック等で医師の判断を仰いでください。
その与えられた選択肢の中で、自分の状況に合った治療薬を選んでいきましょう。