▼EDとは?
EDとは「勃起機能の低下」を意味し、英語の「Erectile Dysfunction」の頭文字を取ったものです。
日本語では「勃起障害」や「勃起不全」と訳されています。
全く勃起ができない状態、と受け取られがちなこのED、じつはちょっとニュアンスが異なります。
勃起に時間がかかったり、勃起しても途中で萎えてしまったり(中折れ)して、満足のいく性交ができない人は、たとえ勃起自体が可能であっても、いずれも EDの疑いがあります。
EDの定義
十分な勃起が得られないか、又は維持出来ないため、満足な性行為が出来ない。
上記の状態が、少なくとも3か月以上持続すること。
専門的には、 “セックス中に充分な勃起やその維持が出来ずに、満足な性交が行えない状態” と定義されています。
最近なんとなく勃ちが悪い、セックス中に中折れしてしまうことがある・・・ などの症状を感じた場合は、EDを疑ったほうがいいかもしれません。
60歳以上では2人に1人が ED
1998年に行われた調査によると、中度ED “たまに勃起、性交中勃起は維持できる” と、重度ED “勃起せずに性交不可能” の日本人の成人男性は、約1130万人、割合にすると成人男性の4人に1人が、『たまに性行為が出来ないことがある』中度以上の EDを抱えていると言われています。
その割合は高齢になるほど増加し、40歳以上では5人に1人、60歳以上では2人に1人が ED を自覚しているようです。
▼症状と原因
性的な興奮は神経を介してペニスに伝わると、ペニスにある陰茎海綿体の動脈は大きく拡がり、陰茎海綿体に充分に血液を送ることが出来ます。これがいわゆる “勃起” といわれる状態です。
神経と血管のどちらかが、または両方が正常に働かなくなると、結果として陰茎海綿体に充分な血液が流れ込まず、 “充分な勃起が得られない状態=ED” が起こりやすくなります。
このようは状態が起こる原因は様々で、複数の要素が絡み合って起こるものなど、まさに十人十色、人によって多岐に渡ります。
器質性 ED
動脈硬化の進行や神経に障害があるなど、持病や手術などによる後遺症が原因のケース。
加齢によって糖尿病や高血圧などの生活習慣病になることによって引き起こされるので、中年以降に多い。
脳出血、脳腫瘍、脳外傷、パーキンソン病、アルツハイマー病などの神経系の障害や、前立腺がん、膀胱がん、直腸がんなどの手術、または外傷で、その周囲にある血管や神経を損傷した場合に起こります。
機能性 ED
精神的なストレスによって引き起こされるケース。
勃起機能が正常にも関わらず、ストレス、不安、うつなど心理的要因などによって性交が出来なくなることがあります。
20~40代の若年層、働き盛りに多い。
混合型 ED
器質性と心因性両方の原因で起こるケース。
糖尿病や高血圧、外傷などに精神的な要素が加わって起こる。
50代以降に多く、どちらの要素も合わさった混合型EDは非常に多い。
薬剤性 ED
服用している薬剤に起因するケース。
抗うつ薬、麻酔薬、利尿剤などある特定の投薬によって引き起こされるもの。
生活習慣とED
生活習慣病は、普段の何気ない生活パターンから引き起こされます。
これらの病は血管や神経に異常をきたすものが多く、EDの原因になることが多く、糖尿病(血管や神経などに障害を引き起こす)、高血圧(動脈硬化の原因)、脂質異常症(動脈硬化の原因)、心血管障害など血液循環に関連する生活習慣病を有する方は、EDが起こりやすい傾向にあります。
また喫煙や過度の飲酒、外食の多用もEDを引き起こす原因とされています。
▼治療法
ED治療にはEDの性質に対応して、手術・器具の活用・心理療法・ホルモン療法・薬など様々な治療法が存在していますが、近年ではまずはED治療薬(バイアグラ・シアリス・レビトラなど)を用いて治療する方法が主流になっています。
1999年に経口薬によるED治療法が日本で認可されて以来、 ED治療は安価になるとともにより一般的になり、多くの日本人男性が救われてきました。
ED3大治療薬
ED治療薬のうち主流のものは大きく分けて以下の3種類になります。
・バイアグラ
世界最初のED治療薬としてNO.1の処方実績を持っています。
アメリカでは1998年に発売され、日本でも1999年から販売が開始されました。
もともとは狭心症の治療薬でしたが、その効果が認められてからはED治療薬といえば「バイアグラ」というファンが多いです。
※バイアグラジェネリック
バイアグラは2014年に特許が切れ、新薬に比べてより安価なジェネリック製品も出回っています。
・レビトラ
バイアグラに続いて、2003年にドイツのバイエル社から発売され、日本では2004年に承認を受けたED治療薬です。
バイアグラに比べて食事の影響を受けにくく、普通の食事であれば効果に影響がないのが特徴です。
・シアリス
シアリスの長所は何と言っても他の治療薬よりも作用時間が長いことです。
バイアグラやレビトラの作用時間が4~8時間なのに対して、シアリスは36時間と非常に長い時間その効果が持続します。
2003年11月にはアメリカでも承認がおり、日本では2007年7月に承認されました。
歴史は浅いですが、効果時間の長さと服用のしやすさで現在では世界で1番人気のある治療薬です。
また人気があるだけに偽造薬も多く出回っています。
心理療法
機能性EDの治療には心理療法を用いることがあります。
一般心理療法と呼ばれるカウンセリングが最も効果的とされています。
器具による治療
経口薬が処方できない人や効果が認められない人には、器具による治療も行われています。
ポンプによりペニスに血液を送り込む陰圧式勃起補助具、低衝撃波照射によって血管を新たに作り出す低衝撃波治療などがそれにあたります。
手術による治療
ペニス周辺の血管そのものを外科的に治療したり、ペニスにシリコンや器具などを入れ、擬似的に勃起状態を作り上げる手術も行われています。
費用負担が大きく、また副作用も多いので、手術は最終的な選択肢とも言えるでしょう。
EDは生命を脅かす病ではありません。また痛みを伴うこともありません。
しかし、勃起が不充分なために引き起こされる男性としての自信喪失は、普段の生活に様々な影響を及ぼしかねません。
他の病と同じく、早期の治療を心がけて、男性として自信を持った人生を歩みましょう。