ED治療

▼ED治療

成人男性の4人に1人が抱えていると言われるED、ここではその治療法を見ていきます。

経口薬による治療が主流

EDの治療には手術器具の活用心理療法ホルモン療法など様々な治療法が存在しています。

近年ではED治療薬(バイアグラ・シアリス・レビトラなど)を用いて治療する方法が主流になっています。

▼経口薬

1999年に経口薬によるED治療法が日本で開始されてから、ED治療は安価になりより一般的になりました。

・バイアグラ

米ファイザー社によって開発された世界初の経口ED治療薬です。

世界最初のED治療薬としてNO.1の処方実績があります。

アメリカでは1998年に発売され、日本でも1999年から販売が開始されました。

主な有効成分はクエン酸シルディナフィルで、ペニスの血管を収縮させる酵素を阻害するため、勃起を起こしやすくします。

もともとは狭心症の治療薬でしたが、治療中に偶然その副作用として勃起効果が認められたことからEDの治療薬になったそうです。

当初は医師を通さない個人輸入により、併用禁忌薬に起因する事故が多発、以後医療機関を通す販売になった経緯があります。

ED治療薬といえば「バイアグラ」というファンが多く、2014年に特許が切れ、新薬に比べて安価なジェネリックも出回っています。

主な副作用としてほてり・頭痛・動悸などがありますが、多くの場合4~6時間で治るようです。

・レビトラ

バイアグラに続いて、2003年にドイツのバイエル社から発売され、日本では2004年に承認を受けたED治療薬です。

成分のバルデナフィル塩酸塩水和物は、バイアグラに比べて体内への吸収が速く即効性があり、食事の影響を受けにくく、標準的な食事であれば影響ないとされています。

レビトラの成分もバイアグラ同様、ペニスの血管を収縮させる酵素を阻害することにより勃起を起こしやすくします。

主な副作用としてほてり・頭痛・動悸・鼻づまりなどがありますが、多くの場合4~6時間で治るようです。

・シアリス

米イーライリリー社によって2003年に開発され、米国で販売開始された治療薬です。日本では2007年7月に承認されました。

有効成分タダラフィルは、バイアグラやレビトラ(作用時間4~8時間)に比べ体内で分解されにくく、結果およそ36時間と言われる長時間の持続性があります。

成分がペニスの血管を収縮させる酵素を阻害する点はバイアグラ、レビトラと同様です。

歴史は浅いですが、効果時間の長さと服用のしやすさで現在では世界で1番人気のある治療薬です。

また人気があるだけに偽造薬も多く出回っています。

主な副作用としてほてり・動悸・鼻づまり・腰痛などがありますが、多くの場合4~6時間で治るようです。

▼心理療法

心理的・精神的な原因によるED、機能性EDの治療には心理療法を用いることがあります。

器質的な要因でないため、治療では精神的な方面へもアプローチしていく必要があります。

一般心理療法と呼ばれるカウンセリングが最も効果的とされています。

治療に際しては、バイアグラやシアリス、レビトラなどが並行して処方されるケースもあります。

心因性EDと精神病性ED

機能性EDには、心因性EDと精神病性EDの2種類があります。

心因性ED

人間関係、心理的ストレスや抑うつなど、様々な心理的諸要因によって引き起こされるEDです。

心因性EDは現実心因と深層心因によって2つに大別されます。

・現実心因
日常生活の中でちょっとしたことがストレスとなるケースです。

現実心因は、ほとんどの場合自分自身で容易に原因が判るもの。

現実心因に対しては、カウンセリング(一般心理療法)や暗示療法、リラクゼーション、自律訓練法や行動療法などが試されます。

・深層心因
幼児期の体験や性的トラウマなど過去の出来事が原因となり、心の深層にある心因。

大半は心の無意識の領域のため見当がつかないことが多い。

深層心因に対しては分析的心理療法と呼ばれる精神分析的な手法を施します。

この場合、原因の解明に時間がかかる場合が多く、治療は長期に渡ります。

・精神病性ED

精神病性EDは、精神分裂病や統合失調症、気分障害や妄想性障害などの精神疾患が原因で引き起こされるEDです。

精神医学的な精査が必要となります。そのため、精神科で治療を受けることがほとんどです。

副作用・デメリット

医師によって効果は異なるものの、心理療法では基本的に副作用・デメリットはありません。

また、手術をするわけではありませんので、身体への負担もありません。

ただ、ほとんどの場合即効性はなく、長期的な治療を行わなければならないので、パートナーがいる場合はパートナーの理解、協力は必須でしょう。

▼器具による治療

手軽に治療ができる経口薬ですが、併用禁忌薬もあるなど、経口治療薬によるED治療薬が選択できない人にとっては希望の治療法とも言えます。

神経障害などによるEDで経口薬が効かない人、狭心症などの治療で経口薬の併用禁忌薬を服用している人に勧められます。

陰圧式勃起補助具

擬似勃起を起こすための器具です。

日本で医療器具として厚生労働省の使用認可がおりているものは、以下の3種類です。

アメリカのベトコ社製の手動式ポンプ「ベトコ」

日本のツムラ社製の電動式ポンプ「リテント」

日本の三井ヘルス社製の手動式ポンプ「カンキ」

ポンプによりペニスに血液を呼び込み、勃起を引き起こします。陰茎基部にゴムバンドを巻いて血液を滞留させ性交可能な状態を維持させます。

ほとんどの人に即効性があり、重い副作用がない反面、多少の不快感や痛みを伴ったり、皮下出血や射精障害をもたらすこともあります。

使用に際してはメリット/デメリットをよく理解した上で使ったほうがよいでしょう。

低衝撃波治療

低衝撃波照射によって血管を新たに作り出す医療機器です。

もともとイスラエルで開発されたED1000や、スイスの医療機器メーカーSTORZ MEDICAL社により開発されたEDマックスなどがあります。

血管が新しく作り出されることによって、海綿体への血液供給量が増大し、勃起を可能にします。

器質性 EDなどの場合、勃起に関わる血管がダメージを受けてしまっていることが多いため、新しい血管さえ増やすことで、一時的ではなく根本的な治癒が可能といわれています。

低衝撃波治療によってEDの根治を経験した患者は、事故による外傷や糖尿病の患者なども含め8割近くに上ると報告されています。

副作用はないですが治療費は高額です。使用に際してはメリット/デメリットをよく理解した上で使ったほうがよいでしょう。

▼手術

血管・神経・内分泌・外傷などの物理的な身体機能の障害によって引き起こされる器質性EDは、手術によるED治療が効果的な場合もあります。

勃起を阻害する血管に問題がありEDが発症している場合、これを血管性EDと呼びます。

この血管性EDを治療するには、陰茎の海綿体へ血液の流れ方を調べます。

動脈性EDと静脈性ED

海綿体に血液が流れ込まないケース、またはすぐに流れ出て行ってしまうケースどちらもEDを引き起こす原因となり、それぞれ前者を動脈性ED、後者を静脈性EDと呼んでいます。

動脈性ED

動脈性EDは、茎の海綿体へ流れ込む血液の量が不十分で勃起できない症状となります。

動脈性EDに対する手術では、血管の通り道を作るバイパス手術やカテーテルを血管に通すなどの治療を行います。

陰茎のむくみや陰茎知覚低下などの副作用があります。

静脈性ED

静脈性EDは、流れ込んだ血液を海綿体に溜め込んでおけない閉鎖機構が問題となる症状です。

静脈性EDに対する手術では、流出する血液を少しでも減らすために、陰茎背静脈切除などが有効になります。

これもやはり陰茎包皮のむくみなどの副作用があります。

陰茎プロステーシス移植術

プロステーシスとは人工器官のことで、陰茎にシリコンや器具などを入れ、擬似的に勃起状態を作り上げる手術です。

いわゆる“最終手段”的な面を持ち、術後は他の手術は出来ず、また元通りの状態にも出来ない不可逆的な手術です。

・ノンインフレータブル型
血液の代わりに水を用い、勃起を引き起こす機能を人工的に付加する手術です。

・インフレータブル型
陰茎内に伸縮性のある棒状の器具を挿入する方法です。

副作用・デメリット

手術にはそれぞれ副作用やデメリットがありますが、共通するデメリットとしてまずは費用の高さ、また術後は性交が数ヶ月不可能となる点です。

プロステーシスに関しては、いずれも感染症や器具の故障の場合は再手術が必要になります。また自然な勃起は二度と不可能になります。

以上EDの治療法を見てきました。

EDは様々な原因が絡んで起きているので、自分だけで安易に治療法を決めずに、まずは専門のクリニックでじっくりと原因を究明することから始めましょう。

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